由緒

当神社は延暦十九年(八〇〇年)人皇第五十代 桓武天皇の勅命により御創祀された社です。御祭神の井上内親王は人皇第四十九代光仁天皇の皇后で聖武天皇の皇女にて称徳天皇の異母姉であります。

 宝亀元年(七七〇年)白壁王が即位され光仁天皇となられると同時に井上内親王は皇后になられ翌年には御子他戸親王も皇太子となられました。しかし宝亀三年(七七二年)天皇を呪詛したと疑いをかけられ皇后位を剥奪され、他戸親王も皇太子を廃され、大和国宇智郡(五條市)に幽閉されたのち宝亀六年(七七五年)四月二十七日、母子ともに薨去されました。

 奈良時代の混乱と政権争いの中で、光仁天皇の第一皇子で渡来氏族の高野新笠を母とする山部親王(後の桓武天皇)を擁立する藤原百川の策謀によるものと伝えられています。

 薨去後、都に天変地異が相次ぎ疫病が流行した為、母子の祟りと恐れた天皇は諸国の国分寺の僧侶六百人に金剛般若経の読経をさせ、墳墓を改葬して山陵とし、吉野皇太后の追号を贈り、手篤く慰霊されました。

 奈良時代、平安時代の人々は無実の罪を着せられて非業の死を遂げた人の怨みの心が怨霊となって災いを起こすと恐れました。しかしその怨霊を丁重にお祀りすれば御霊となり守護してくれる神になるという風に考えるようになりました。これが御霊信仰の始まりです。

『三代実録』によりますと最初に行われた御霊会は貞観(じょうがん)五年(八六三年)五月二十日に神泉苑で行われています。早良親王、伊予親王、藤原吉子、観察使、橘逸勢、文屋宮田麻呂ら六所の御霊を祀り、御霊を慰めるために供物をして僧侶の読経、雅楽を奏し盛大に行われました。

 奈良の町には南の出入口として三つの街道があり、疫病の侵入を防ぐための御霊会が営まれ、上つ道に早良親王を祀る崇道天皇社、中つ道に井上皇后を祀る井上御霊社、下つ道に他戸親王を祀る他戸御霊社が造営されました。

この井上御霊社が当社のはじめです。 

 宝徳三年(一四五一年) 土一揆により元興寺金堂以下主要堂宇が火災で焼失し、井上郷(奈良市井上町)の井上御霊社も焼失してしまいました。その後、現在の地に遷座され、元興寺の鎮守社としての役割を持つようになり広く信仰されるようになりました。 

御本殿に井上皇后、他戸親王の神霊二座、東側社殿に早良親王、藤原広嗣、藤原大夫人の神霊三座、西側社殿に伊予親王、橘逸勢、文屋宮田麿の神霊三座をお祀りし、あわせて八所御霊大神と申し上げます。

 豊臣秀吉の時代に町切りといわれる町域区分の確定が行われて以来、氏子関係が確立し、県下唯一の広範囲である氏子地域七十余町を守護する氏神でもあります。

御祭神

本殿 
井上皇后 いがみこうごう
他戸親王 おさべしんのう 
事代主命 ことしろぬしのみこと

本殿東側社殿

早良親王 さわらしんのう

藤原広嗣 ふじわらのひろつぐ

藤原大夫人 ふじわらのだいふじん


本殿西側社殿

伊予親王 いよしんのう

橘逸勢 たちばなのはやなり

文屋宮田麿 ぶんやのみやたまろ


末社

出世稲荷神社

農民の子から天下人になられた豊臣秀吉公が篤く信仰した神様

開運出世 縁結び 五穀豊穣 

商売繁盛 諸芸上達 夫婦円満 

交通安全   武運長久   病気平癒

天正15年、聚楽第の造営に際し、邸内に稲荷神社を勧請、翌年、後陽成天皇が聚楽第に行幸し、稲荷神社に参拝した時に立身出世を遂げた秀吉公に因で「出世」の称号を授けたと言われています。

昭和27年に京都の出世稲荷神社より御分霊をいただきお祀りしたものです。

御祭神

大己貴命 おおなむちのみこと 

稲倉魂命 うがのみたまのみこと

猿田彦命 さるたひこのみこと

天鈿女命 あめのうづめのみこと 

保食命 うけもちのみこと


例祭日

 4月28日 

祓戸社

お祓いを司る神様

心身を清めるお社です

先ずここにお参りしてから御本殿にお参りしましょう

御祭神

市杵島比賣神 いちきしまひめのかみ

瀬織津比賣神 せおりつひめのかみ 

速秋津比賣神 はやあきつひめのかみ 

伊吹戸主神 いぶきどぬしのかみ

速佐須良比賣神 はやさすらいひめのかみ


例祭日

 6月30日 夏越の大祓

12月31日 年越の大祓

若宮社

天神 学業成就 病気平癒 

諸道上達 知恵 正直

学問 至誠の神様 

天神とは菅原道真公をご祭神として祀る神社のことで、もとは無実の罪に問われ亡くなった道真公の怒りを鎮め、混乱を回復しようとする御霊信仰が始まりでした

天変の神、農耕の神、無実の罪を晴らす神とさまざまな神として信仰され、江戸時代に入ると学問の神として寺子屋や藩校などで祀られました

御祭神

菅原道真公 すがわらみちざね


例祭日

7月25日

えびす大黒石

夫婦和楽 家庭円満 病気平癒

御祭神

大国主命 おおくにぬしのみこと

事代主命 ことしろぬしのみこと

水蛭子社

海上安全 豊漁守護 商売繁盛

伊邪那岐命と伊邪那美命との間に最初に生まれた神

御祭神

蛭子命 ひるこのみこと